FC2ブログ

アユタヤ***続復讐の芽***

徳川に追われた茉緒たちは大海を超えて新天地に向かいます。アユタヤに自分たちの住処を作ろうと考えています。


再会6

  1. 2019/08/21(水) 06:50:49_
  2. ミステリー
  3. _ comment:0
 翌日からリーを連れて宗久の地図をもって廃坑に行く。4日目に初めて宗久の言う廃坑を探し出した。この辺りは柳生の下忍の死体を発見されてから50人ほどの兵が巡回している。
「確かにこの廃坑に間違いないわ」
 リーが暗がりから顔を出してくる。
「宗久の言うには南蛮船でも後3回はかかるだろうと。だからこのありかを知られてはならぬと言うことだ」
「明日は下忍を連れてきて藩の内情と船への荷の運び出しを検討しましょう」
「いやリーは廃坑から港までの道を今から調べてくれ。私は今から藩に潜ってみる」
「慌てすぎでは?」
「いや下忍を入れるのは危険だ」
 リーと別れると茉緒は草むらの道を走る。この道を通すしかないだろう。荷車はここしか通れない。藩に行くにはここから左に曲がる。少し行くと町の木戸がある。ここには5人ほどが常駐している。だが抜けるのはわけはない。
 この藩は城と言うほどのものがない。屋敷に形だけの石垣が並んでいる。気になるのは柳生だ。道場を見つけて忍び込む。道場ではまさに稽古中で目の鋭い侍が竹刀を持って立っている。門下生を指導しているようだ。昔抜け人村で見た柳生より強そうだ。
「ただいま戻りました」
 昼に何度か見た見回り隊の隊長が入ってくる。
「どうだ何者か分かったか?」
「修験者ではなく忍者のようです」
「だが服部はここには立ち入り禁止になっておるからなあ。まさか藤林が蘇ったと言うのか?修験者の在りかもわからぬか?」
「あれから姿を見せておりません」
「よし手のものを連れて山に入ろう」












スポンサーサイト
テーマ : ミステリ    ジャンル : 小説・文学

再会5

  1. 2019/08/20(火) 07:03:11_
  2. ミステリー
  3. _ comment:0
 崖の一部が崩れたところにリーが体を押し付けると大きな石が動いた。
「ここは元から洞窟だったところに石を埋め込んだ。修験者が好んでするカラクリよ」
 確かに下の土は踏み固められている。洞窟を抜けるとまたもや断崖だ。リーが顔を出して何やら調べている。
「やはり綱が隠されていたよ。まず私が下りてみる」
 下はまた深い森が続いている。続いて下忍が下りて息子も何とか支えられて下に着く。茉緒が最後に続いたときには周りはすっかり修験者に囲まれている。リーが大人しく縛られている。戦うなと言うことだ。しばらく一列に森の中を進むと前方からも修験者が現る。茉緒とリーだけがまだ奥の道を歩かされる。茅葺の小屋が見える。小屋の戸が開く。
「悪かったな縛ってな」
 長い白髪姿だが今井宗久だ。
「部下も下で預かっている。中に入ってくれ」
「服部に襲われたのですか?」
「そうだ。あの時にすべての雇人を失ったわ。ただこういう日もあろうかと豊臣の財宝は廃坑に埋めておいた」
「なぜ果心居士に救われたのですか?」
「元々弾正から果心を預かっていた時期があったのだよ。彼も弾正が死んでから彼をお山に運んでそこにいたのだが、不意に鉱山に現れて救われたと言うことだ。どうだ海の向こうに行ったのか?」
「ええ、アユタヤに行きました」
「やはりアユタヤだったか」
「果心居士は?」
「江戸に行っている。そもそもここを攻撃させたのは明智光秀こと天海だ。居士は今天海と戦っておる」
「天海が?」
「奴は家康と組んでいたのだ。果心は昔光秀とも縁がある。詳しい話は果心に聞くとよい」
「アユタヤに行かれますか?」
「待っていたのだ。日本はもういい」











テーマ : 時代小説    ジャンル : 小説・文学

再会4

  1. 2019/08/19(月) 07:01:55_
  2. ミステリー
  3. _ comment:0
 翌朝全員で崖の端から端までを隈なく探す。リーの姿が昼になっても見えない。その時下忍から常人では聞こえない口笛が聞こえてくる。誰かが侵入してきたようだ。茉緒は風のようにその方向に走る。
「柳生の下忍です」
 柳生の中には服部のような忍者組織がある。だがこの中にはかなり剣を使えるものがいる。
「10人はいます。私たちを見つけたと言うよりこの辺りを定期的に見張っているようです」
 口だけを動かして話す。
「だが人の気配を感じたのだと思います」
「一人も逃がさずに切るしかないな」
 茉緒は下忍に取り囲む指示を送る。それから茉緒は剣を抜くとその集団に近づいていく。茉緒の後ろに息子が歩いてきている。一斉に剣の触れ合う音がする。茉緒は早くも前にいた2人を切り払う。だが3人目がなかなか剣を使う。茉緒の下忍を1人切った。
「何者だ?服部なら消えろ」
 無言で切り込むが躱された。茉緒の視界に息子が剣を抜いて下忍に切りかかるのが見えた。次の瞬間肩を切られて倒れる。続けて上段から切りつけてきて途中から下から切り上げる。茉緒は思い切り飛び上がってその剣を超えて着地とともに切り下げる。肉を切り裂いた感触がある。
「腕は落ちてないね」
 リーが息子に飛びかかった下忍を突き刺して茉緒に声をかけてくる。
「どうだ?」
「1人を失いましたが、全員殺しました」
「リー息子の手当てをしてやれ。他のものは死体を向こうの谷から落とせ」
 息子の傷は深くない。
「登り口を見つけたよ」






テーマ : 時代小説    ジャンル : 小説・文学

再会3

  1. 2019/08/18(日) 07:16:21_
  2. ミステリー
  3. _ comment:0
 翌日下忍の話を聞きながら獣道に入る。先頭はりーが歩き息子が後ろに張り付いて歩いている。だがリーは全く相手にしていない。
「港は藩の役人が小屋を建てて見回りに来ているようです」
「服部はあの戦いの後消えたようです」
「今は師範代の柳生が下忍を鉱山跡を見回りさせているようです」
と入れ替わりに茉緒の横に来て話していく。
「今井宗久の噂は?」
「見た人はいないようです。ただ屋敷が火災にあったのは事実ですが、死体は発見されていません」
「修験者の噂は?」
「これも見たものがいませんが、生き残った 服部の下忍は修験者が攻めてきたと言い残しているようです」
 3刻も登ると深い谷に入った。リーが先頭を止めて茉緒の横に来る。
「ここを見てください」
 指を指したところに通り過ぎてしまうような石を重ねたものがある。
「これはあの修験者が好んで作る守りの印です。この印が2か所で挟まれているのは門のようなものです」
「だがこの先は切り立った崖だが?」
「だからここを選んだのですよ」
 だが実際に1刻後に崖にぶつかって行き詰る。もうすっかり日が暮れた。リーはそれでも歩き回って茉緒の元に戻ってきた。息子が待ちかねたようにリーのそばに来るが、彼女は振り払って茉緒の横に寄り添うように寝る。
「リーは果心居士に抱かれたことがあるのか?」
「果心居士は肉体的に抱くことはありません。夢の中に誘い込むのです」
「ならあれは夢だったのか?」
「天国に入ったような気分になる」





テーマ : 時代小説    ジャンル : 小説・文学

再会2

  1. 2019/08/17(土) 07:44:45_
  2. ミステリー
  3. _ comment:0
 息子を連れて隠岐の港を出る。息子の言う切り立った崖の半島に南蛮船をつける。ここなら南蛮船が隠せると言うのだ。息子は25歳でリーが気に入ったのかいつもそばにいる。小舟を下ろして10人の下忍を乗せて浜辺に渡る。とにかく浜の周辺に下忍を走らせる。
 茉緒はりーと息子を連れて茉緒の記憶をたどって藪道に入る。すっかり宗久が作った港への道は草に埋もれている。人気は全くない。1刻ほど歩くと燃えた屋敷に草がぼうぼう生えている。茉緒は慎重に建物の中に入っていく。確かに最近に人が入った形跡がある。その後鉱山跡も覗くが爆発があって埋まったようだ。このような廃坑がいくつもあると宗久が言っていた。
「果心居士ならどこに構える?」
「一番険しいとこ」
 リーが懐かしそうに答える。
「となるとあの山だな」
「リーさんは剣を使うのですか?」
「細い剣だが強い」
「一度手合わせをさせていただけませんか?」
「真剣でやってみろ」
 息子もそこそこ剣を使うようだ。息子の肩に力が入っている。怪我させまいとしている。
「殺す気でやれ」
 次の瞬間息子の剣が空を切ってリーの剣が頬に当たっている。リーの剣は茉緒でも気を抜いたら危ない。あの剣は果心居士が教えたものだ。
「戻ろう。明日は山登りになる」









テーマ : 時代小説    ジャンル : 小説・文学

NEW ENTRY  | BLOG TOP |  OLD ENTRY>>

プロフィール

yumebito86865

Author:yumebito86865
初めての時代小説『復讐の芽』を書き終えて、茉緒と離れられなくなりこの続編にかかりました。その時アユタヤが思い浮かびました。

« 2019 08  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR


▲PAGETOP