アユタヤ***続復讐の芽***

徳川に追われた茉緒たちは大海を超えて新天地に向かいます。アユタヤに自分たちの住処を作ろうと考えています。


遠征11

  1. 2018/02/23(金) 05:52:51_
  2. ミステリー
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 カトマンズの王は足をくじいてベットに寝ている。ハル王女は親衛隊長と狩りに参加していない部隊を調査をしている。茉緒は下忍を使って宿舎を探る。茉緒は昼過ぎにハル王女から呼び出しを受けて牢獄に行く。すでに一人の男が椅子に縛られている。親衛隊の小隊長だ。
「茉緒見てくれない?」
 男の裸の背中を見せる。背中の傷は茉緒の手裏剣の痕だ。
「小隊長は1千を束ねている。今親衛隊で部隊を拘束したが半分は逃げ出している」
 これはハル王女から以前から聞いていた問題点だった。今後も起こる恐れがある。
「来てください」
 下忍が入ってきた。ハル王女と親衛隊の宿舎に行く。ここは捕まった小隊の宿舎だ。下忍によって板の床が剥されている。ここに親衛隊で使わない覆面や装束や武器が隠されている。相当ショックだったのかハル王女はそのまま寝室に入ってしまった。
 茉緒はヒデを呼んで国境の町にまず明日兵を5百送ることにした。また襲われる可能性は高い。とくに荷を盗まれないように手を打つ必要がある。それで兵の他に下忍を20人も潜らせた。とくに砂漠の道を見張らせる。
 茉緒はヒデの隣の部屋で寝ている。ドアがゆっくり開く音に目を開けた。
「茉緒寝た?」
 ハル王女は珍しくレースの衣装を着てワインを手に持っている。
「どうしたらいいの?」
「親衛隊の改革ですね?」
「それは?」
「ハル王女の信頼できる部隊を作ることよね」
「作ってみるわ」
と言った目の瞳孔がまた開いている。
「果心か?」
「半分は彼女が求めている」


 






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遠征10

  1. 2018/02/22(木) 06:51:02_
  2. ミステリー
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 ヒデが中心になって荷の買い付けを始めた。サンベット王とカトマンズ王が狩りに出かけた。もちろん茉緒もハル王女も参加している。双方から兵が5百ずつ出して警備にあたっている。茉緒も下忍を30人すべてを出している。だがここは緊張状態にある弟の国からは反対方向になる。
 カトマンズに注ぎ込む川を森の中に2刻進む。ハル王女との剣の練習も終盤にかかっている。茉緒は見切りを教えている。だから二人の戦いは剣の交わる音が消えた。ハル王女は茉緒を最近は師匠と呼んでいる。
「師匠どうですか?」
 もし真剣で戦ったら茉緒も迂闊に攻めれなくなっている。それでけわずかの間に上達している。果心が茉緒の動きを吸い取らせているようだ。今なら凜ともリーとも互角だろう。狩りが行われて1刻が経った。黒装束の下忍が飛び込んできた。ハル王女の剣が抜かれるのを茉緒が制止した。
「森が囲まれています」
「ハル王女、この国は?」
「カトマンズの忠誠な親族だからありえない」
「どのくらいいる?」
「1千はいると」
「1千も?」
 茉緒はハル王女と馬に跨って王のところに走る。だがすでに覆面を被った一団に襲われている。王は森から出ようとしているが相手もなかなか強い。下忍が二人の王を守って戦ている。茉緒もハル王女も参戦する。1刻半の戦いの中ようやく王たちが森を出た。それと同時に覆面の賊は森の中に消えた。
「茉緒どう思う?」
「あれは賊の剣ではない」
「親衛隊を調べて見る」









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遠征9

  1. 2018/02/21(水) 05:59:49_
  2. ミステリー
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 サンベット王はなかなかアユタヤに戻ろうと言わない。
「王は?」
「ハル王女と剣の練習ををされています」
「ヒデはやらないのか?」
「私には剣の才能はありません。王にいいようにされるだけです」
「商館は出来たのか?」
「ええ、もう帰らないと」
 話しているとハル王女が王と隣に来ている。
「王さん弱くてだめよ。茉緒とやりたい」
「王の命令だ」
 どうも口説かれたようだ。木剣を王から渡す。
「真剣でもいいよ」
「いえ」
 仕方がないので木剣を構える。構えて見てこれは強いと思った。だがまだ体ができていないようだ。果心が恐らく時間をかけて教えるだろう。構えからいきなり足を払ってきた。茉緒は見切りで下がる。これが火をつけたのか連続技に出てきた。剣が触れることもない。
「どうして剣を交えない?」
「剣を交えると折れる。折れたら死です」
「国に帰られるまで教えてくださらない?」
 それから毎日1刻練習することとなった。どうも果心が教えて行けと言っているようだ。







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遠征8

  1. 2018/02/20(火) 05:58:39_
  2. ミステリー
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 ハル王女は洞窟のことは全く覚えていないようだ。だが執拗に茉緒に接してくる。サンベット王が盛んにハル王女を訪ねるが反応は薄い。
 ヒデは王の了承を貰って広場の入り口にアユタヤの商館を建設を始めている。だが今回の試合で国境で緊張が続いている。とくに王が弓で狙われたことでカトマンズが非難をしている。今日は茉緒はハル王女に請われて国境に出かけている。国境には弟の軍旗がたなびいている。
「兵はいくら出てきているのですか?」
「3千はいるでしょうね?こちらも3千を並べています」
 ハル王女は赤い兜に鎧を着けて高台に立っている。
「父は弟と戦う気はないのです。だがそれではいずれ攻め込まれます。それ程向こうの国は貧しいのです。だが父は豊かなカトマンズに慣れきっています」
 それは忍び込んだ茉緒にはよく分かる。
「戦力は?」
「弟の国では1万でしょうね。カトマンズは約倍の2万。でも昔からカトマンズの兵の3割はこの国からの人たちです」
「内乱が起こると?」
「はい。実際官吏の中にはそういう動きがあります。それで私は父にアユタヤとの通商を勧めました。アユタヤは武器も火薬も優れています。将来的には同盟国として互いに助け合うのがよいと考えます」
 砂漠の道から新たに1千の部隊が盾を手に攻め込んでくる。ハル王女が素早く馬に跨る。5百の騎馬隊がその盾の部隊に攻め込む。茉緒も馬に跨って追う。前の馬の先頭にあの弓の男がいる。
「親衛隊長よ」
 互いに弓を放って剣を交える。もし果心でなかったら茉緒は止めに入っただろう。でも男の剣は鋭い。3度剣を交えた時ハル王女が馬から落ちた。ほとんど同時に茉緒が馬から飛び男の兜を飛ばした。
「またお前か!」
と言うと引き返していく。
 茉緒はハル王女の額の血を拭き取ってやる。








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遠征7

  1. 2018/02/19(月) 06:34:48_
  2. ミステリー
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 獄の鉄柵から朝陽が入ってくる。目を閉じて浅い眠りについている。微かに鍵の触れる音が近づいてくる。
「迷惑を掛けました。王を狙った弓矢を手裏剣で払ってもらったのですね?」
 ハル王女が自ら鍵を開けて茉緒に頭を下げた。手に茉緒が投げた手裏剣が握られている。
「この手裏剣を握った時どういうのか凄い稲妻が走ったのです。それでこれから私と一緒にあるところに付き合っていただきたいのですか?」
 用意されている馬に跨る。ハル王女は鎧を付けた姿だ。茉緒も女官から黒装束に変えた。2刻半王宮の裏に続くつづら折れの山道を登る。そこからさらに馬を下りて深い森の中を1刻歩くと突き立った岩山に出る。よじ登るように頂上にたどり着くと洞穴がある。
「私は祈祷師にここまで運ばれて1月ここで眠っていたのです。父はあらゆる治療を施し死を迎えた私に死を覚悟してここに送り込んだのです」
 洞窟の中にはチロチロと清水が流れていて、器などがそのままになっている。洞窟の奥には粗末な棺が置かれていて、その上に綺麗に黒い衣装が畳んである。
「ここに私を救った祈祷師が眠っておられます」
とゆっくり棺の蓋を開ける。
 義足だ。その瞬間空気が歪んだ。ハル王女が全裸で立っている。
「待っておったぞ茉緒」
「果心居士ですか?」
「死にかけていたハル王女の体を借りた。再び生まれ変わったのさ。だがまだ空を飛ぶことは出来ん」
 ハル王女は瞳孔が開いたまま足を開いた。
「茉緒入ってこい」



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プロフィール

yumebito86865

Author:yumebito86865
初めての時代小説『復讐の芽』を書き終えて、茉緒と離れられなくなりこの続編にかかりました。その時アユタヤが思い浮かびました。

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