アユタヤ***続復讐の芽***

徳川に追われた茉緒たちは大海を超えて新天地に向かいます。アユタヤに自分たちの住処を作ろうと考えています。


東インド会社5

  1. 2017/04/26(水) 06:21:11_
  2. ミステリー
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 本当に久しぶりに男に抱かれた。李の次男は茉緒の背中の傷を見て吃驚したようだ。茉緒の方から李を迎え入れた。昔抱かれた慎吾の匂いがした。凜の子供は父親が慎吾だ。凜は子供が豪と死んだと思っているが、今チャクラバットの娘の子供として生きている。これはついに言えず死んだことになっている。
「今いいかい?」
 入口にゴラクと九郎が立っている。
「わざわざどうしたのですか?」
「あの隊長がアヘンを納屋に隠しているようなのだ」
「確かめたのか?」
「納屋から出てきた警備の男が酒場で和寇の商人に袋を渡しました。その和寇を捕まえました。袋の中身はアヘンでした」
「だがこれが東インド会社の指示でしたことなのか警備隊長の独断かだ。アユタヤと東インド会社の契約だからな。下手をするとイギリスとの戦争になる」
 アユタヤが今イギリスを相手に戦う力はない。相当な証拠を出しても首を振られたら力で押し切るのが今のイギリスだ。つまり揉め事から侵略を開始する。ごね得だ。
「李課長が進めているとは思えませんが?」
 九郎が心配そうに見ている。どうも最近九郎の影を感じている。昨夜も天井裏にそれを感じた。
「サンベット王は?」
「王は多少不平等な契約になってもやむ得ないという立場だよ。だがアヘンだけは困る」
 現在イギリスは香港や台湾をそうして落とし、中国や日本にも迫ろうとしている。アユタヤはその中間点として落としたい地域だろう。
「九郎は下忍10人を警備隊長に張り付け。私はもう少し李課長と話をしてみます」
と言ってこれは自ら動いてみようと考えている。






                     
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テーマ : 時代小説    ジャンル : 小説・文学

東インド会社4

  1. 2017/04/25(火) 06:46:11_
  2. ミステリー
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 イギリス商船は1艇をアユタヤの港に残しインドに戻っていった。課長と事務員と警備隊が取りあえず凜の料亭に入った。
「料亭の女将の凜さんは茉緒さんの妹さんなのですね?」
 今日は茉緒は李課長を馬で開拓地に案内している。
「あれは怖いですよ。私より荒っぽい忍者ですから」
「女将も同じことを言っていましたよ。汎王を倒したと」
「汎王はどうなったか知りませんか?」
「沈んだ船から助け出されたが、死んだかどうかの話は聞いていないです」
 茉緒の手にまだ胸を突き通した感触が残っている。
 目の前に新田が拡がっている。茉緒の後ろに九郎が見守っている。戦いが済んでここには5千の近衛軍と開拓民が動員されている。屯田兵制度を導入している。
「来年には米の輸出も考えています」
「そうですね。ここは屯田兵だそうですね?」
 よく調べている。
「と言うことはアユタヤが1万の兵を持つ時代も近いですね?今この地域はビルマの力が衰えて実に不安定になっています。ラオスとアユタヤの関係はいいと聞いています。ここ辺りがまとまると強くなりますね」
「東インド会社はどう考えているのですか?」
「中で意見は分かれているのです実は。イギリスだけでなくどの国も商船と言いながら軍船です。契約を力で行うこともしばしばです。香港もそうです。でもアユタヤは慎重になっています」
 彼は正直だ。
「私の屋敷で夜飲みませんか?」





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東インド会社3

  1. 2017/04/24(月) 06:24:10_
  2. ミステリー
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 5日がかりで合意にいたったイギリス商船は1日交代でアユタヤの港に入る。そこで積荷を降ろしゴラクの納屋に運ばれる。それからアユタヤの荷が積み込まれる。その間東インド会社の課長達は王宮に招かれている。表通りに商館のリホームも始まっている。元々チャクラバットの商館だったものだ。
 運ばれる荷は白人の大男が50人の兵を置いて運び込むのを監視している。納屋に入ったものはまだ取引をしていないのでアユタヤのものではない。茉緒は人夫に下忍を5人紛れ込ませている。今のところ変な荷物はないようだ。
 今夜は2艇が帰るので王宮で晩餐がある。東インド会社からは12人が呼ばれていて5つの円卓に適当に配置されている。サンベット王の円卓に茉緒が座り課長と警備隊長が座っている。茉緒は王から送られたドレスを着ている。ちょうど背中の傷は見えない。
「この方は?」
 課長が聞く。王が自慢げに、
「南蛮船の持ち主の茉緒さんです」
と紹介する。
「魔王と呼ばれている?」
「ええ」
 白人の隊長が睨んでいる。
「なら弟が言っていた綺麗な人ですね。私は香港の李の次男です」
「お父さんに似ていますね?」
「藤林忍者の頭領と聞いていますが?」
「ええ日本を追われました」
 その夜彼とダンスを踊った。上手くいけばと思う。











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東インド会社2

  1. 2017/04/23(日) 07:05:39_
  2. ミステリー
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 丸一日王宮での会議の末リーとゴラクが僅かの兵を連れてイギリス商船に乗り込んだ。その女官の一人に下忍を潜ませた。半島の入口にアユタヤの水軍が10隻並んでいる。商船から見たらヨットのようなものだ。王宮にはヒデの近衛軍が2千招集された。万が一のために南蛮船には九郎が乗っている。
 夜が来て一度引き揚げてきた。また王宮で会議だ。下忍はそっと抜け出して茉緒の部屋に入ってきた。
「どうだった?」
「南蛮船が攻撃した商船はインドに戻って沈んだようです」
「その賠償か?」
「それは話だけです。あくまでも交易の契約です。ゴラクさんは和寇は打ち払うと言い切りました。向こうもここでは和寇と取引はしていないと言っています。それと南蛮船に付いて尋ねていました」
 商船とまともな戦いをする大砲を備えた船は驚異のはずだ。
「これに付いてはリーさんがアユタヤの1部族だと説明しました。それに対して汎王を切った魔王がいる部族だなと念を押していました」
 翌朝リーが馬で訪ねてきた。
「今日も会談か?」
「はい。返事を返さないと。それでゴラクさんが契約の内容を見せろということで」
 アヘンを持ち込まないことを大前提にしている。その代り港への侵入を認め商館の建設も許している。
「これを飲みそうか?」
「責任者の課長が中国人で穏健なのだけど、警備隊長が危ない感じの男よ」
「だがイギリスと構える力はアユタヤにない」
「王も同じ意見だわ」
 リーが出て行くと茉緒はゆっくり剣を抜いて肩をほぐす。







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東インド会社1

  1. 2017/04/22(土) 07:07:39_
  2. ミステリー
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 汎王の太刀を受けてた背中の傷が思わしくない。凜の所にいる毒使いの女忍者が毎日詰めている。
「どうだ?」 
「深いところが膿んでいます。しばらく動けません」
 仕方がないので書物ばかり読んでいる。王からは果物や薬が送られてくる。久しく顔を見せなかった果心がふらふらと入ってくる。
「どうした死に損なったか茉緒?」
「ああ、凄い太刀だった」
「儂も2度戦ったが一度は引き分けて、今回は義足を切り落とされたわ」
「何やら考えて?」
「シルクロードでカトマンズへ久びりに帰ろうかと思っている」
 茉緒は地球儀を回してカトマンズを探す。
「遠いな?」
「ここで儂は生まれた」
「果心は今何歳だ?」
「100歳かもっとか?だがもう寿命が来ておるわ。ここに帰れと体が言っている」
「死ぬのか?」
「死ぬのかまた生まれ変わるのか知らぬ。だからお別れの挨拶をしておこうとな」
 外が騒がしい。窓の外を見ると大きなイギリス商船が3艇海に浮かんでいる。
「イギリスは日本の徳川のようなものだ。戦うのはよせ。交渉はゴラクに任せろ」
 それでリーを呼んで王とゴラクに知らせを送った。そのうちに果心の姿は消えていた。







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yumebito86865

Author:yumebito86865
初めての時代小説『復讐の芽』を書き終えて、茉緒と離れられなくなりこの続編にかかりました。その時アユタヤが思い浮かびました。

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