アユタヤ***続復讐の芽***

徳川に追われた茉緒たちは大海を超えて新天地に向かいます。アユタヤに自分たちの住処を作ろうと考えています。


本拠地6

  1. 2017/03/24(金) 06:23:23_
  2. ミステリー
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 高雄に入る岬の手前で南蛮船を停船する。ここは高雄の和寇と戦った時に船を隠した漁港の入り江だ。今回も2艇はここで待機だ。茉緒は果心と九郎と下忍を10人連れて山越えをする。夕暮れの高雄の湾に宗久の乗った南蛮船が見える。一行は商人の格好で落ち合う旅籠にたどり着く。部屋に通されると宗久が香港の地図を前に座っている。
「和寇は片づけたか?」
「ええ、やはりあの漁港から付けられていました。本拠地の和寇ではないと思います」
「昼に荷を一部売りさばいて仕込みもした。それと馴染みの商人の番頭とも会って香港入りの段取りをつけた。香港は入港が厳しいからそれでその商人の旗を借りたぞ」
「それ程警戒が厳しい?」
「香港は一応提督と言うのがおるが力は全くない。警備艇を支配しているのは商人や。堺の会合衆のようなものや」
「和寇ではないのですか?」
「和寇とは懐を別にしておる。いや互いに睨み合っていると言った方がいいな。今までは力は互角やったがアヘンで力の均衡が破れてたようや。和寇はイギリスの商船と密輸しているそうや。その頭が汎王だ」
 この頃のイギリスは商船と言うより軍船だ。艦隊を連れて海を渡ってくる。南蛮船より一回り大きい。宗久は香港の地図に情報を書き入れている。
「湾には警備艇が百艇、イギリスの商船が3艇、和寇は2百隻。和寇は近隣に5百隻はあるという。出航は2日後湾に近づけば同じ旗を揚げた警備艇が迎えに来てくれる。茉緒は私の娘として紹介する。荷はここですべて降ろす。その代り彼の商品を買い入れる。だが茉緒はどうするのだ?」
「汎王と会ってみたい。それから娘と決着をつけたい」
 だが容易な相手ではない。ここで打撃を与えておかないと和寇がアユタヤに攻め込む日も近い。和寇は陸路が弱い。アユタヤの交易力は魅力だろう。






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本拠地5

  1. 2017/03/23(木) 07:45:50_
  2. ミステリー
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「茉緒、やはりつけられていたなあ」
 果心が帆の上から声をかけてくる。波間に粟粒のような帆が見える。すでに仲間の船に伝令を飛ばしているはずだ。
「一番後ろの南蛮船を前に走らせる。残りの2艇はここで反転をする」
 下忍がそれぞれの船に合図を送る。九郎の船が茉緒の船に並走する。その横を宗久を乗せた船が先に進む。
「陸地から和寇が押し寄せてきます」
「よし、左右に分かれる」
 和寇は2百隻はいるだろう。だがまだ本拠地から来た和寇ではなさそうだ。2艇は砲撃が届かない距離に離れる。
「真ん中の親船を狙うんだ」
 果心が指を指している。一回り大きな船が最後尾にいる。和寇を包み込むように2艇が円を描く。すでに和寇の大砲が海に撃ちこまれている。まだ南蛮船は大砲を撃っていない。砲撃の飛距離を見せないためだ。出来るだけ親船に近づく。親船は気づいたのか和寇の中に入り込もうとする。
「撃て!」
 2艇が同時に撃ちこむ。果心の火薬の威力は凄い。周辺の船から煙が上がる。その1発が親舟の後部に落ちた。第2弾が撃ちこまれる。次は親船の帆を打ち倒す。30隻ほどが煙を上げている。だが和寇の大砲が届くところまで来ている。
「離れる!」
 第3弾を撃ちこみながら大海に向かって走り出す。和寇は追いかけてくる様相はない。船のスピードなら追い付かれることはない。だができるだけ大海に出て方向を台湾に向ける。それでも1刻半は戦ている。
「砲弾は?」
「まだまだ十分にあります」
「よし、ゆっくり高雄に向かう」








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本拠地4

  1. 2017/03/22(水) 06:52:30_
  2. ミステリー
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 南蛮船が3艇揃い荷の積み込みが始まっている。今回は倍以上の火薬を積み込んでいる。茉緒と宗久と果心と九郎が乗る。ヒデは近衛軍を束ねてアユタヤに残る。リーはもう王から離せない存在になっている。宗久は堺時代に親しかった香港の商人に会う予定だ。
 第1艇に茉緒と果心、第2艇に九郎、第3艇に宗久が乗る。下忍は80人大半を第1艇と第2艇に乗せる。第3艇は商人隊を乗せた。
「別邸から女房に届いた書簡を見つけた」
 珍しく凜が馬に乗って現れた。凜から差し出されて書簡は未開封だ。恐らく和寇が退却寸前に届けたものだろう。地図が描かれていている。ここは和寇の逃げた漁港だ。娘よ退却を命じるとある。汎王と印がある。それを横にいた宗久が取る。
「汎王と言う名は聞いたことがある。元々中国王朝の王族だったが20歳の時に王宮から追放になったと聞く。まだ日本人が和寇の主役であった頃にその仲間に入り今の和寇を作ったそうだ。あの女房は娘のようだ」
「必ず仇を討ってね」
「分かった」
 チャクラバットも香港にいる。
「だが茉緒、本拠地を襲うが正面から汎王と戦う力はない。どこまで和寇船を沈ませるかだろうな」
 それは分かっている。どこまで打撃を与えれるかだ。それと娘の女房とは因縁の対決が残っている。
「荷はすべて積み込みました」
 九郎が報告に来る。
 まず第1艇が出発する。その後に第2艇が続く。第3艇が一番沈んでいる。船室に戻ると果心が酒を手に入ってくる。
「汎王の若い頃剣を交えたことがあるわ。もう30年も前かなあ。斧のような太刀を使う。日本刀なら切り飛ばしてしまうぞ」
「娘は細い柳のような剣を使う」








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本拠地3

  1. 2017/03/21(火) 06:44:12_
  2. ミステリー
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 国境まで茉緒は近衛兵を百連れて久しぶりの戻ってきた宗久を迎える。宗久はラオスから商隊を3百を引き連れてビルマ王とも会談を済ませてきている。今日は内内で凜の料亭の個室で歓迎会をする。商隊はゴラクの並びの屋敷に荷物を運び込む。絹や綿の織物が多い。今回は半分ほどを南蛮船に積み込む。もちろん和寇本拠地を襲うのだが積み荷は台湾に下ろす。
 部屋には宗久、ゴラク、リー、ヒデ、果心、茉緒、凜と円卓に並ぶ。
「お疲れ様です」
 凜が女将として挨拶する。
「いや、どの国も不安定だ。それで和寇が今まで以上に蔓延っている。今回のビルマの部族の件も和寇が王の兄を誘い込んだ」
 茉緒は戦闘で兄の首を切ったのは王に内緒にしている。
「下手をすれば戦国時代になる。信長が現れるかもしれないぞ。和寇のアヘンはラオスにもビルマにも蔓延している。だがアユタヤにはチャンスかもしれんぞ」
「どうしてですか?」
「この周辺の国を経済でつなぐのだ。それがアユタヤの生きていく道だ」
「それには和寇を除くことからです」
「そうだ。和寇はアヘンに手を染めてから中国からアジアに力を拡げている。儂は今回和寇追放の基金を設立する。ゴラクさんも了解してくれた。これは茉緒が使うのだ」
 宗久は基金の内容を書いた指示書を回す。商人の商いに一定の税をかけるような方式だ。ここには宗久から豊臣の財宝も含まれている。
「容易にはいくまいな」







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本拠地2

  1. 2017/03/20(月) 07:06:57_
  2. ミステリー
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 現在近衛軍は商隊を率いている5百以外は新田開発に投入している。山の麓まではまだ遠いがアユタヤにあった水田では一番広い土地になっている。ここはヒデが総責任者でだったが今は経済大臣が農業大臣となって引き継いでいる。
「どうですか?」
「いや目が覚めたよ」
 息子を引き取って新田開発をさせている。だが息子は娘のような格好でいる。それを大臣が受け入れたようだ。
「ようやく水路が引き込めたので3分の1はヒデさんの時に苗を植えたようです。今年は初収穫ですよ」
「今何人がここに?」
「近衛兵が入って5千はいます」
 茉緒は農道を進む。その先に新しい干拓地が広がる。ここには下忍が3人入っている。大きな岩を爆破させるのだ。その横に義足の果心が足を投げ出している。果心はここで新しい火薬の爆発実験をしているのだ。
 茉緒は近衛軍を今の荷隊警護以外に新田開発にも兵を大きく裂こうと考えている。屯田兵をイメージしている。今後アユタヤの取り巻く情勢から1万の近衛兵の動員を考えている。後ろから約束していたサンベット王が兵を10人ほど連れてやってくる。
「いや思ったより広い」
「いえ、まだこれからあの麓まで開拓します。この新田で1万が暮らします。そこまで来たらアユタヤも米の輸入国から輸出国になります。王宮は?」
「体制が若返ったので生き生きしている。だが貴族の不満を躱すのは大変だ」
「リーはどうしています?」
「南蛮船に乗りたいと言っている。私も乗りたい」
「それは無理ですよ」
 今夜はみんなに王から酒が配られる。








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プロフィール

yumebito86865

Author:yumebito86865
初めての時代小説『復讐の芽』を書き終えて、茉緒と離れられなくなりこの続編にかかりました。その時アユタヤが思い浮かびました。

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